「椿の移植」に関する質問の回答③

2014/01/26 カテゴリ:

2013年の夏明け、地植えの挿木椿が枯れたと言うお話を数件頂いたのを思い出しました。

接木で植栽されているお客様はそのような事はないのですが、仕組みを説明します。

挿木苗は椿の根(自根)になります。特徴としては、

①発根の絶対量が少ない ②発根のペースが遅い ②根が伸び続ける(走ると表現します)

①②は木の成長が遅いので、根の張りが遅いと言うのはなんとなく分かって頂けると思いますが問題は③

「夏は乾くから、椿の木の根元にしっかりと水をあげていた」と皆さん言われるのですが、実際に水を吸い上げる根がそこには存在しないという事実です。

地植えした挿木椿は水を吸う根がだんだんと遠くになってゆき、温度を求め地表近くに張るようになるので水切れしやすいのです。

対策としては発根しやすい5月~6月に根切りと言う作業をおススメします。

幹回りの長さ(円周長さ)×1.2倍~1.5倍の位置を、スコップで2、3か所をザクッと土へ差し込めばOK。次の年は去年と違う場所を根切りします。(そのあとは水やりをしてあげてくださいね。)

そんな事もあり、販売している挿木の一品物や苗は鉢植えでの管理をおススメしております。

接木苗はサザンカ(当園は品種「勘次郎」を絶対に使用)根を借りて(という表現とさせてください)上の椿が育ちます。

なので接木苗は上記の問題をしっかり解決しています。

発根も多く、温度が低くても根を出しやすく、根が伸びると同時に脇の根も出す=発根量が自然と多くなるという仕組みになります。

本日のまとめ。。。

「根は「水」「栄養」を吸収するとても大事な部分です。 大切に育てた椿が枯れないよう根を大切にしましょう!」

若干分かりにくい表現もあるかと思いますが、トラブル解決の目安として当園として持っている知識の一部となります。

上記が絶対と言うわけでは決してありません。ご了承ください。

今後も佐藤椿園をよろしくお願い致します。 三代目 佐藤幹大

「椿の移植」に関する質問の回答②

2014/01/19 カテゴリ:

伝統とこだわりを大切に守り続けているので話がとてもとても長くなってしまいます。

その辺りも先代より引き継いでしまっているので簡潔に話せるようになりたい! 三代目の幹大(みきひろ)です。

昨日の続きになりますが、挿木椿と接木椿では根が全く違います。

当園の接木椿の台木はサザンカの「勘次郎」という品種に接木しております。

分かりやすい表現として、挿木椿の根は数本の根が走ってしまいがちで、木を真上から見て放射状に広がりません。

接木椿は木を真上から見て放射状に広がり、またびっしりと細かい根(細根)を張り巡らします。

特に年数が経過した椿で、はっきりと表れます。

挿木椿の移植後によくある事として、木の脇枝が数本枯れ全体が弱々しくなってしまい葉が黄色になるという事例です。

接木椿、お値段は少し高くなりますが「長く楽しみたい」という方、「一生物の椿を」とお考えの方は是非接木苗をお買い求め下さい。

ただし、当園オンラインショップで販売している一品物挿木苗に関しては畑でしっかりと管理した良苗です。

ちなみに挿し木を良質に長持ちさせようという場合は少し手が掛かりまして・・・ この先は次の投稿にて~

「椿の移植」に関する質問の回答①

2014/01/18 カテゴリ:

お客様より「大切な椿の移植をしたいのですが」と言う質問がございました。状況的には植えて10年ぐらい(だったと思います。。少しあいまいな覚えで申し訳ない) ※苗の育て方等はホームページ内に記載があります。

また、挿木椿と接木椿では成功率が大きく変わりますのでご注意下さい。 佐藤椿園での成功率参考として挿木30%未満、接木90%以上です。

①移植の時期(的期)について。

基本は真夏以外の9月~翌年6月。ブログ(2013年8月26日参照)にも書いた事はありますが真夏でも移植は可能ですが、よほどの精通者に限ります。

3月~5月、10月~11月がおススメで、特に地植えの移植は時々降る雨の恩恵も受けられる時期なので一番失敗は少ないと言えます。

②移植前の堀上げ簡単説明。

当園オンラインショップの一品物のカテゴリに出ている地堀苗を参照(イメージ)してください。

幹の立ち上がり部分で、幹の外周をメジャー(コンベックス)等で計測します。

そのサイズの1倍~1.5倍程の半径周り(幹回り15cmでしたら直径30cm~40cm)をすり鉢状に掘り上げます。 そして根が崩れないように巻くか移植先へ移動します。

(※このあたりは植木屋、造園屋、または佐藤椿園の方に任せたほうが無難ですが。)

③移植先での作業。

しっかりと潅水し、支柱を立てて根がぐらぐらしないようにしてください。(施肥は半月以上後にする!)

そのあと、一枝に葉を6枚~8枚程度残し、すっきりと切り詰めます。

切り詰めスッキリ_縮小400 実際はここの作業がカン・コツになるので結構難しい所です。

昨年2013年の春4月に移植した接木椿の参考画像。我々は樹形を整える為に強く剪定しています。

切り詰めてこれだけ_縮小400  胴から芽を吹く_縮小400

↑このように胴芽が吹き始めたら成功の目安です。(写真は2014年1月撮影)

次の年には元気に新芽を吹き、花も付けます。 これが挿木の椿だと芽吹かずに枯れてしまう事が多いのです。

話は長くなるのですが、挿木は根がまず走ってしまうので・・・ この先は次の投稿にします(笑)

 

椿な人達

椿園三代目園主 佐藤 幹大

椿園三代目園主
佐藤 幹大

椿園は昭和23年の創業以来、椿樹木を専門に生産・販売を行っています。育種家としては一重の筒咲を中心としたツバキらしい「美しい椿」の作出にも取組み、三代に渡り作り出した園芸品種椿は300品種に迫っている。代表的な作出・命名品種:千羽鶴、初音、陣屋の椿、月照など。