みなさんこんにちは!椿園の佐藤です。秋が深まり、農園でも早咲きの椿が次々と花を咲かせる季節になってきました。
今回ご紹介する椿は「絞初嵐(しぼりはつあらし)」です。
白い花に紅色の細かな絞り模様が入る、一重咲きの美しい椿。
今回はちょうど同じ時期に「絞西王母・しぼりせいおうぼ」も咲いていましたので、動画後半では実際の二品種を並べて花の違いも比較しました。
絞初嵐の特徴は、何といっても花色です。
白色の花弁に、紅色を細かく吹き付けたような模様が入ります。
このような模様を椿では「吹き掛け絞り」と呼びます。
花によって紅色の入り方はさまざま。
白色が多く残る花もあれば、細かな紅色が全体に入る花もあり、一輪としてまったく同じ表情にならないところも絞り椿の魅力です。
花形は一重の筒咲き~ラッパ咲き。
花の大きさは中輪で、すっきりとした一重咲きの姿に華やかな絞り模様が加わります。
椿園では10月頃から3月頃まで花を楽しめる、秋咲き・早咲きの品種として栽培しています。
「絞初嵐」という名前を聞くと、とても古い椿のようにも感じます。
実際には、絞初嵐そのものが江戸時代から存在した品種ではありません。
絞初嵐は、古くから栽培されてきた白花の椿「初嵐(はつあらし)」の自然実生から生まれた品種です。
親となった「初嵐」は江戸時代後期の椿に関する文献にも名前が残る古い品種で、白色の一重、筒咲き~ラッパ咲きの早咲き椿として受け継がれてきました。
その初嵐からできた種を育てた実生の中に、紅色の絞り模様が現れた個体が生まれます。
福岡県久留米市草野町で育てられていた実生の中から選抜、1965年に「絞初嵐」と命名されました。
江戸時代から伝わる「初嵐」
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その種から生まれた実生
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紅色の絞りが入る個体を選抜
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1965年「絞初嵐」と命名
という歴史を持つ椿です。
白花の初嵐を思わせる一重筒咲きや早咲き性を持ちながら、紅色の吹き掛け絞りという新しい個性が加わった品種と見ると、この花の面白さがさらに分かります。
今回、農園ではちょうど同じ時期に「絞西王母(しぼりせいおうぼ)」も開花していました。
絞西王母も一重筒咲きで、紅色の吹き掛け絞りが入る早咲きの椿です。
開花時期も近く、写真だけで見ると「よく似ている」と感じる方もいらっしゃると思います。
そこで今回は実際の花を並べて比較してみました。
大きな違いとして分かりやすいのが花の地色です。
絞初嵐は、基本となる花色が白色。
そこへ紅色の吹き掛け絞りが入ります。
一方の絞西王母は、基本となる花色が淡い桃色。
その上に大小さまざまな紅色の吹き掛け絞りが入ります。
そのため並べて見ると、絞初嵐は白と紅のコントラストがはっきりとした印象。
絞西王母は淡桃色と紅色が重なり、やわらかく温かみのある印象という違いを感じます。
どちらも一重の筒咲きを基本とするため、一見するとよく似ています。
しかし実際に花を手に取って見比べると、蕾の形や花弁の抱え方、花が開いていく姿にも違いがあります。
絞西王母は、名前の通り西王母の実生とされる品種で、蕾がふくよかに丸く膨らみ、咲き進んでも花弁を抱えるようなやわらかい花姿が特徴です。
それに対して絞初嵐は、咲き進むにつれて筒咲き状に開き、すっきりとした花姿を見せます。
同じ「一重・吹き掛け絞り・早咲き」という共通点を持ちながらも、実物を並べるとそれぞれ違った魅力があります。
絞り椿の面白さは、品種の特徴を知るだけでは終わりません。
同じ株から咲いた花でも、紅色の入り方は一輪ごとに変化します。
「今年はどんな模様の花が咲くだろう」そんな楽しみ方ができることも、絞り椿ならではです。
そして絞初嵐には、江戸時代から受け継がれた初嵐の歴史と、昭和に生まれた絞り花という背景があります。
花そのものの美しさはもちろんですが、その品種がどのように生まれ、今日まで受け継がれてきたのかを知ってから花を見ると、椿の楽しみ方も少し変わってくるのではないでしょうか。
今回の動画では、農園で実際に咲いた絞初嵐をじっくり撮影し、後半では絞西王母との比較も行っています。
二つの花をぜひ見比べながら、それぞれの違いと魅力をお楽しみください。
本日もブログをご覧いただきありがとうございました!